石川県立能登高等学校

探究の窓

2026/07/091年生 鵜川地区フィールドワーク

7月8日(水)、1年生の「総合的な探究の時間(以下、総探)」の一環として、能登町鵜川地区にてフィールドワークを実施しました。
能登町鵜川は、古くから漁業や漁船で栄えた港町ですが、近年の過疎化や震災の影響により、かつての活気が失われつつあります。

1年生は1学期まで、探究活動の定義や、探究を通じて培われる能力といった基礎的な座学に取り組んできました。
2学期からは具体的な探究活動を行なうため、生徒自身の主体的な姿勢が求められます。

今年の総探の大きなテーマは「地域を良い状態(Well-being)にする」です。
このテーマに向けて1年生は2学期から、生徒自身が地域から問いを見つけて探究していく段階へと移行します。

今年度の総合的な探究の時間のテーマ=「地域を良い状態(Well-being)にする」

ここでの「地域」とは「エリア(能登町・能登)」に限定せず「自分以外の誰か・何か」と定義しています。

総探は普通科と地域産業科が合同で活動し、生徒が主体的に問題を発見し、課題を設定し、問題解決力を育む時間です。

 

今回のフィールドワークは、過去・現在・未来の鵜川を知り、地域の変化や現状を実感することを目的としました。

【過去を知る】旧能登線鵜川駅

かつて漁業で栄えた鵜川も、過疎化により人口が減少しています。
その象徴ともいえるのが、旧能登線の廃線に伴う鵜川駅の廃止です。
かつて乗降客で賑わっていた駅跡を訪れ、五感を使って当時の様子を想像しました。
この体験を通じて、時間の経過とともに変化する地域の姿を捉え、将来の探究活動の視点として役立てることがねらいです。

 

【現在を知る その1】鵜川の祭を知る

生徒たちは菅原神社を訪問し、鵜川の伝統である「にわか祭」と「いどり祭」について学びました。

神職の梅田 真人さんのお話や祭を紹介する動画を通じ、これらの祭礼が住民に与える意味、そして震災のあった2024年以降も地域が奮起して祭りを開催した背景や想いを知りました。
地域との繋がりや伝統の重み、そして課題を感じ、探究のヒントを得る貴重な機会となりました。

 

【現在を知る その2】日の出大敷から話を聴く

鵜川漁港では、伝統的な定置網漁を行う有限会社日の出大敷の平 佳人さんからお話を伺いました。
生徒たちは実際に漁船にも乗り、漁の仕組みや現場を肌で感じることができました。

平さんは、現場で働く漁師の視点から、漁業を通じて取り組んでいることについて以下のように語りました。

  • 持続可能な漁業: 網目を大きくして稚魚を逃がす定置網の仕組み
  • 付加価値の向上: 船上での血抜きによる鮮度保持や、最高級ブランド「煌(きらめき)」の認定制度を通じた天然能登寒ブリのブランド化、高付加価値化
  • 技能実習生の受け入れ:漁業の担い手不足を解消するため、漁師20名のうち8名のインドネシア人技能実習生と共に働いき、日本の漁業知識を伝えることで、彼らが帰国後に活かせるような互恵的な関係を構築

 

平さんは、美味しい魚が人を呼び、それが観光や宿泊業の発展に繋がる「循環」を目指しているとも語りました。

地域の大人が現場の問題をどのように認識し、それに対して具体的にどのように取り組んでいるかを聞くことは、生徒たちにとって大変有益な時間でした。

 

【現在を知る その3】地域を歩いて観察する

地域の人から話を聞くだけでなく、実際に鵜川地区を歩く時間も設けました。

過疎化や震災の影響により、鵜川の景観がどのように変化したかを目に向け、最も心が動いた瞬間を生徒自身のスマートフォンで撮影しました。
そしてその瞬間が「なぜ気になったのか」を言語化して提出することで、地域を「自分事」として捉える機会としました。

 

【未来を知る】コミュニティづくりと地域活性化

最後に、能登町を拠点に活動するクリエティブデザイナーの辻野 実さんからお話を聞きました。

辻野さんは、鵜川の仲間たちや日本財団、建築設計事務所とともに、地域交流拠点「みんなの番屋」の建設を進めており、コミュニティの再建を目指しています。
特に地域で生きる喜びや誇りを生み出す施策の一環として、鵜川の水産物を使用した「魚介系ラーメン」を施設内で提供する計画には、生徒たちが大きな関心を寄せていました。

 

生徒の振り返り

フィールドワークの最後に、心が動いた言葉、景色、そして感じたことをワークシートに記入しました。

1年生から多く挙がった声は、
「過疎化や震災という困難の中にありながらも、諦めずに地域をより良くしようと情熱を持って動く大人の姿」
への感動でした。

今回のフィールドワークでは、祭の開催、漁業を通じたブランド創出、交流拠点の整備など、鵜川の人々が未来を自らの手で創ろうとする熱意を肌で感じることができました。
そして生徒たちの探究活動へのモチベーションを高める絶好の機会となりました。
大人がどのように地域の課題を発見し、取り組んでいるかという姿は、これから探究活動に取り組む1年生にとって大きなヒントになったはずです。

今回ご協力いただいた鵜川地区の皆さま、本当にありがとうございました。