石川県立能登高等学校

探究の窓

2025/03/19震災後の活動について経験者から学ぶ

2025年3月19日、1・2年生合同の総合的な探究の時間では2人のゲストをお招きして、令和6年能登半島地震発災直後から取り組まれてきた復旧活動や支援活動の講話が行われました。

今回お越しいただいたのは、株式会社SCARAMANGA代表でデザイナー・DoyaCoffeeオーナーの辻野実さんと、令和6年能登半島地震の発災直後から能登町を中心に奥能登で災害支援を続けている災害ボランティア団体OPENJAPANの川島莉生(リキ)さんです。

お二人は震災復興や地域活性化に取り組んできた経験を持ち、その貴重なお話を高校生たちへ届けてくださいました。

震災からこれまでの活動

まず初めに、震災後の活動についてお話しいただきました。

川島莉生さんからは、震災直後に炊き出しを続けた経験が語られました。物資が届かない中で、被災者に温かい食事を届け続けたその体験は、命をつなぐ支援の大切さを強く実感させるものでした。その後は、OPENJAPANが持つ技能を活かして、重機などを使った支援に取り組んだとのことです。特に印象的だったのは、「家よりも先に神社を直してほしい」という要望があったことでした。

一方、辻野実さんからは、地域コミュニティを元気づけるために行ってきたイベントづくりについてのお話がありました。震災で気持ちが沈んでいる人々に少しでも笑顔を届けようと、仲間たちと力を合わせて開催したイベントが地域に活力を与えたことが印象的でした。さらに、全国各地の友人たちから支援物資が次々と届いたというエピソードも紹介されましたが、その中でも「高齢者向けの物資から真っ先になくなった」という話は特に印象深く、町の現状を考えさせられるものでした。

能登の今とこれから

続いて、能登の現状について語っていただきました。震災という困難な出来事が、逆にプラスに働いた面があったというお話もありました。「震災がなければ、能登はそのまま過疎化して町は衰退し続けていたかもしれない。でも震災があったから覚悟が決まった」と辻野さん。地域を支えるために自分たちができることを真剣に考え、腹をくくったことで、新たな動きが生まれたと感じたそうです。震災が地域の現状を浮き彫りにし、人々の意識を変える契機となったことで、能登の未来を切り拓こうという力が生まれたと、お話しされていました。

高校生へのメッセージと「希望」

高校生からの「なぜそこまで熱心にボランティアに取り組めるのか」という質問に対して、お二人とも「楽しいから」と答えました。「去年は能登がぶっ壊れたと思ったけど、今は希望を感じています。」と辻野さん。その理由については「僕たちとみんながこうして生きている、楽しんでいるからです。」と語りました。活動そのものが「楽しい」から続けられるという言葉に、生徒たちは活動の原動力を感じ取ったようでした。

高校生との対話を通じて

今回の会は、ただ話を聞くだけではなく、高校生からの質問も交えたインタビュー形式で進行しました。
「震災支援を続ける中で、最も大変だったことは何ですか?」
「能登の未来をどう考えていますか?」
など、生徒たちは素直な疑問を投げかけ、お二人も一つひとつ丁寧に答えてくださいました。実際に現場で活動してきた方々のリアルな声を聞き、能登の未来を共に考える貴重な時間となりました。

また高校生が書き出した感想には、

●能登への誇りと行動力
「自分も被災したのに、人のために行動する姿がすごい」
「能登のために働いてくれてありがとう」

●ボランティア活動の意義、感謝の気持ち
「自分も支える側になりたい」
「将来ボランティア活動をしたい」
「ボランティアは本当に助かった」

●震災後の活動への感謝
「震災後、多くの人に支えられて今がある」
「たくさんの支援のお陰で高校生活を送れている」

●地域貢献への意識
「自分も能登に貢献できる人間になりたい」
「将来、能登で働きたい」
「能登を盛り上げる活動をしたい」
「能登を活性化させたい」

●ボランティア活動への関心と将来の進路を考えるきっかけ
「自分も行動できる人になりたい」
「ボランティアに参加したい」
「人の役に立つ仕事がしたい」

●大人への信頼と協力
「もっと大人を頼りたい」
「大人の力を借りて行動したい」
「高校生の力だけでなく、大人の力を借りることも大切」

●能登の魅力再発見
「能登の良さを再確認できた」
「能登に希望を持てた」
「能登は終わっていない、まだできることがある」

●震災からの学びと成長
「震災をいい刺激に変えたい」
「震災をバネに頑張りたい」
「震災を通して、人の温かさや絆を感じた」

●能登の未来への想い
「能登がもっと良くなるようにしたい」
「能登を活気あふれる町にしたい」
「自分たちも能登のために行動したい」

といった声がありました。

能登高生にとっては能登への想いを新たにし、将来について考える貴重な機会となりました。
ご協力いただいた辻野実さん、川島莉生さん、貴重なお話をありがとうございました。
生徒たちの成長につながる素晴らしい時間に心より感謝いたします。